大学に進学した際にJASSO(日本学生支援機構)の奨学金を利用し、卒業後に返済を行っている方は多いです。
しかし、事故や病気、勤務先の倒産など、様々な理由で返済が滞ってしまう場合もあります。
払いたくても払えないことから、奨学金の返済を滞納してしまう方も増えています。しかし、奨学金は滞納を続けても大丈夫なのでしょうか。
今回は、日本学生支援機構の奨学金の滞納について、以下の内容をご紹介します。
・滞納を続けているとどうなるのか
・財産を差し押さられることはあるのか
・奨学金を返済できない場合はどうすればいいのか
日本学生支援機構から奨学金を借りている方はぜひチェックしてください。

奨学金を滞納するとどうなるのか
通常、銀行や消費者金融などの金融機関からお金を借りた場合、返済が滞ると支払いの催促や保証人への請求が行われます。
では、奨学金の場合、滞納時にはどんなペナルティが発生するのでしょうか。
保証人・連帯保証人が返還を要求される
奨学金の申し込み時に、人的保証を設定している場合、返済を滞納すると保証人・連帯保証人に返済を請求される場合があります。
学生支援機構の奨学金には、2種類の保証方法が存在します。
- 機関保証
- 人的保証
日本国際教育支援協会に保証依頼している機関保証ではなく、自分で保証人を立てている場合、返済が滞ると保証人・連帯保証人に返済を求められます。
親戚や知人に保証を頼んだ場合、人間関係の悪化や親戚内での評判の低下に繋がるため、注意が必要です。
ブラックリストに載る
ブラックリストに掲載され、金融機関からの信用を失う場合があります。
カード会社や金融機関などは、契約前に必ず契約者の信用情報をチェックします。一般にブラックリストと呼ばれるのは、信用情報機関が保管している利用者の信用情報です。
奨学金の返済を滞納しこの信用情報に記録されてしまうと、以下のような場面で契約できなくなる場合があります。
- 自動車を購入する際のローン契約
- 住宅ローンの契約
- 部屋を借りる際の保証会社の利用契約
学生支援機構の奨学金は、3ヶ月分の返済の滞りでブラックリストの対象となります。

滞納ママ動画「【信用情報開示】どブラックな私がJICCの開示申請をしてみた話。」
財産を差し押さえられる可能性がある
奨学金を滞納したまま放っておくと、最終的には財産を差し押さえられる場合があります。
「差し押さえなんてそうそうされないだろう」と思うかもしれませんが、近年の経済情勢の悪化により奨学金の返済も滞っており、学生支援機構も法的手段による回収を強化しています。
以下は、平成27年度に取られた回収のための法的手段と件数のデータです。
区分 | 件数 |
---|---|
支払督促申立予告 | 16,737 |
支払督促申立 | 8,713 |
仮執行宣言付支払督促申立 | 2,268 |
強制執行予告 | 3,622 |
強制執行申立 | 778 |
強制執行 | 498 |
参照:独立行政法人 日本学生支援機構|平成27年度業務実績等報告書
最終的に強制執行まで行われたのは1年で498件。実に一日に一件は、奨学金の滞納による強制執行が行われていることになります。
一括返済を求められる場合がある
機関保証を利用している場合、返済が滞ると一括返済を求められる場合があります。
学生支援機構は、貸与を受けている本人が返済できないと判断した場合、申込時に保証を依頼した保証会社に返済を依頼します。保証会社が立て替えた返済金は、奨学金を借りた本人に一括で請求されます。
延滞金がかかる
支払期限までに奨学金を返済しない場合、滞納している金額と期間に応じて延滞金が発生します。延滞金の計算は支払い期限を過ぎた翌日から返済を行う日までが基準です。
奨学金の種類や借入時期にもよりますが、概ね2.5%から10%の利率が本来の返済金額と併せて請求されます。
滞納から差押えまでの流れ
奨学金を滞納した場合のデメリットはお分かりいただけたかと思います。では、奨学金の返済を滞納してから、実際に強制執行まで、どのような手順で行われるのでしょうか。
奨学金返済督促は、電話や書面での連絡から始まり、強制執行まで以下のような流れで行われます。
①電話連絡
②書面での連絡
③直接訪問
④一括返済請求
⑤強制執行
人的補償を利用している場合、一括返済請求ではなく裁判所を通した督促が送られてくるケースもあります。
実際に強制執行が行われるまでには時間がありますので、せめて3ヶ月滞納してブラックリストに載るまでには学生支援機構に連絡を取り、何らかの対策を講じておきたいところです。

奨学金を払えない場合はどうすればいいのか
奨学金の返済はスムーズに行えるばそれで問題ないのですが、様々な事情で予定通りに返済できない場合もあるでしょう。
では、そういった場合はどのような対策を取れば良いのでしょうか。
学生支援機構には、貸与を受けている方の経済状況に応じて、返済の猶予や月々の返還を減額する制度を用意しています。
返済を猶予してもらう
一時的に返済が難しい場合に、奨学金の返済を先送りにできる制度です。一点注意が必要なのですが、この制度は奨学金の免除制度ではありません。
先送りにした奨学金も、あとで支払う必要があります。
返済猶予の利用は、以下のような状態に陥っていることが条件です。
- 災害による被害を受けた
- 傷病により働くことが困難である
- 失業した
- 経済的に困窮し
- 海外に居住しており一時的に返済はできない
上記は一例ですので、詳細は下記サイトを参考にしてください。
参考:独立行政法人 日本学生支援機構|一般猶予
なお、猶予は猶予開始希望月の3ヶ月前から2か月前の月末までの申請が必要です。
減額返還制度を利用する
減額返還制度は、月々の返済金額を減らすことで負担を軽くできる制度です。
なお、一度の返済金額が低くなる制度であり、返済金額の合計は減額されません。
猶予と同じく、災害や傷病・経済的に事情などで奨学金の返還が困難な場合に利用できる制度です。一度の申請で一年間適用され、最大で15年まで延長可能です。
なお、こちらは減額返還の開始を希望する月の2か月前までに申請が必要となります。
参考:独立行政法人 日本学生支援機構|減額返還
奨学金を踏み倒すことはできるのか
奨学金の返済義務がなくなる消滅時効は、通常返済期限から10年です。この10年間の間に裁判所を通した支払督促や訴訟を起こされなければ、十年経過した分については支払い義務はなくなります。
ですが、先ほど紹介したように、日本学生支援機構は法的手段による回収を強化しています。支払い期限から10年も放っておくとは考えにくいため、消滅時効での踏み倒しは難しいでしょう。
また、学生支援機構と交渉して借金を整理する任意整理も難しいです。もともと金利が低い上、任意整理せずとも機構側で返済猶予や減額返還の制度を用意しているためです。
無理なく支払えられるよう返済額を調整できますので、少しずつ払っていくのが現実的です。

まとめ 無断延滞はリスクが大きい 申請は早めに!
以上、日本学生支援機構奨学金の滞納ペナルティと対策をご紹介しました。
変換が難しい状況だと、奨学金の督促は煩わしくでつい無視しがちです。しかし、お金を借りている以上、ブラックリストに登録されると、信用に関わる大きなリスクがあります。
強制執行されてしまうと、経済的負担が逼迫しどうしようもなくなりますので、その前に学生支援機構に連絡していただきたいです。
なお、学生支援機構は手続きに時間がかかります。猶予は3ヶ月前、減額は2ヶ月前までに申請が必要です。
支払いのできないものを無理やり払わされることはありませんし、払えるになるまで待ってくれます。滞納したまま放置せずに、早めに連絡するようにしましょう。

奨学金の場合も日本学生支援機構(JASSO)という独立行政法人(政府の事業を行う法人)なので相談すれば親身になって話を聞いてくれます。
奨学金の滞納で悩んでいる人はまずJASSOに電話してください。
滞納ママ動画「【信用情報開示】どブラックな私がJICCの開示申請をしてみた話。」